ブログ > 採用サイト制作にかかる費用はどれくらい?料金相場と見積もり確認のポイント
公開日:2023.02.21 / 最終更新日:2025.09.02
採用サイト制作にかかる費用はどれくらい?料金相場と見積もり確認のポイント

近年、労働市場の変化と人材獲得競争の激化により、企業にとって採用サイトの重要性が飛躍的に高まっています。リクルート社の調査によれば、求職者の約85%がWebサイトで企業研究を行っており、特に20代・30代の若手人材にとって、採用サイトは企業を知る最初の窓口となっています。魅力的で情報豊富な採用サイトは、優秀な人材を引き付ける強力なツールである一方、情報が不足していたり使いにくいサイトは、潜在的な候補者を逃してしまう原因にもなります。
しかし、いざ採用サイトを制作しようと検討を始めると「どの程度の予算を用意すべきか」「制作会社によって見積もりが大きく異なるのはなぜか」「何にどれくらいの費用がかかるのか」といった疑問が次々と浮かんできます。採用活動における予算配分を考える上で、採用サイトの適正な投資額を把握することは非常に重要です。
適切な予算設定により、無駄なコストを避けながら効果的な採用サイトを構築できるだけでなく、長期的なROI(投資対効果)の最適化も図れます。この記事では、採用サイトの種類別費用相場から、コストに影響する具体的な要素、制作会社選びの実践的なポイント、さらにコスト削減の効果的な手法まで、採用サイト制作の費用について包括的に解説します。
目次
1.採用サイトの種類と特徴
採用サイトの制作費用を理解するためには、まずサイトの種類とそれぞれの特徴を把握することが重要です。一般的に採用サイトは、その規模と機能によって3つのタイプに分類されます。
①簡易版(既存HPに採用ページ追加)
簡易版は、既存のコーポレートサイトに採用専用のページを追加する最もシンプルな形式です。このタイプは、限られた予算で迅速に採用情報を発信したい企業に適しています。
簡易版の特徴として、既存サイトのデザインテンプレートを活用するため、統一感のある見た目を保ちながらコストを抑えることができます。掲載内容は基本的な会社概要、募集職種、給与・待遇、応募方法などの必要最小限の情報に絞られます。
適用企業は主に従業員数30名以下の小規模企業、創業間もないスタートアップ企業、初めて採用サイトを作る企業などです。また、特定の職種に絞った限定的な採用活動を行う場合にも効果的です。制作期間は通常2〜4週間程度で、緊急性の高い採用ニーズにも対応できます。
②スタンダード版(専用採用サイト)
スタンダード版は、独立したドメインまたはサブドメインで運営される専用の採用サイトです。中小企業の採用活動において最も一般的に選択されるタイプで、バランスの取れた機能と費用対効果が特徴です。
このタイプでは、会社概要や募集要項に加えて、社員インタビュー、職場環境の詳細な紹介、一日の業務の流れ、福利厚生の具体的な内容、会社の文化やビジョンなど、求職者が企業を理解するために必要な情報を幅広く掲載できます。また、オリジナルデザインの採用により、企業のブランドイメージを効果的に表現することが可能です。
スタンダード版に適している企業は、従業員数50名〜500名程度の中小企業、採用活動を本格的に強化したい企業、複数の職種で同時に採用活動を行う企業などです。制作期間は企画から納品まで3〜4ヶ月程度を要し、しっかりとした準備期間を確保する必要があります。
③プレミアム版(高機能・オリジナルデザイン)
プレミアム版は、フルオーダーメイドで制作される最高品質の採用サイトです。企業の採用ブランディングを重視し、候補者に強い印象を与えることを目的としています。
機能面では、高品質な動画コンテンツの制作・埋め込み、インタラクティブな要素(アニメーション、スクロール効果など)の実装、高度な応募管理システムとの連携、多言語対応、スマートフォンに最適化されたレスポンシブデザインなど、最新のWeb技術を駆使した機能が盛り込まれます。
コンテンツ面では、プロフェッショナルな写真撮影、動画制作、インタビュー記事の制作、インフォグラフィックスの作成など、質の高いオリジナルコンテンツが特徴です。また、SEO対策も充実しており、検索エンジンからの自然流入も期待できます。
大企業、上場企業、採用ブランディングを戦略的に推進したい企業、グローバル展開を行っている企業などに適しており、制作期間は企画・設計から納品まで4〜6ヶ月程度の長期プロジェクトとなります。
2.費用相場の詳細
①制作費用
簡易版(10万円〜50万円)
簡易版の費用内訳を詳しく見ると、企画・設計が5〜10万円、既存デザインの調整が5〜15万円、コーディングが5〜20万円、テスト・調整が2〜5万円程度となります。ページ数は通常3〜5ページ程度で、採用TOP、募集要項、会社概要、応募フォームが基本構成となります。
WordPressなどのCMSテンプレートを活用する場合、更に費用を抑えることが可能で、10〜30万円程度での制作も実現できます。ただし、デザインの自由度は制限され、他社との差別化は困難になる点を考慮する必要があります。
スタンダード版(50万円〜200万円)
スタンダード版では、企画・設計に15〜40万円、オリジナルデザインに30〜80万円、コーディング・システム開発に30〜80万円、テスト・調整に10〜20万円程度の費用配分となります。
ページ数は8〜15ページ程度が一般的で、採用TOP、会社紹介、募集職種詳細、社員インタビュー、職場環境、福利厚生、選考フロー、よくある質問、応募フォームなどが含まれます。写真撮影が必要な場合は別途10〜30万円、動画制作を含む場合は20〜50万円の追加費用が発生します。
プレミアム版(200万円以上)
プレミアム版の費用は、要求される機能やデザインの複雑さによって大きく変動します。企画・設計に50〜100万円、フルオーダーデザインに100〜200万円、高度なシステム開発に100〜300万円、コンテンツ制作に50〜150万円といった配分が一般的です。
特に、オリジナル動画の制作、3Dアニメーション、バーチャルオフィスツアー、AIチャットボットの実装などの先進的な機能を導入する場合は、それぞれ50〜200万円程度の追加投資が必要になります。
②運用・保守費用
採用サイトは制作して終わりではなく、継続的な運用・保守が必要です。
月額保守費用
一般的に、月額保守費用は制作費用の3〜30万円程度が相場とされています。制作金額やサイトの規模が大きくなると、それに伴って保守費用も上がる場合もあります。
保守費用に含まれる内容は、サーバーの監視・メンテナンス、セキュリティアップデート、バックアップ作業、基本的なトラブル対応、簡単な文章修正(月2〜3回程度)、アクセス解析レポートの提供などです。
コンテンツ更新費用
新しいコンテンツの追加や大幅な修正については、別途費用が発生します。テキストの更新は1回あたり5,000〜1万5,000円、写真の追加・差し替えは1回あたり1万〜3万円、新規ページの追加は1ページあたり3万〜10万円程度が相場です。
社員インタビューの新規追加の場合、取材・撮影・記事制作を含めて1記事あたり10万円〜20万円程度の費用が必要になります。
インフラ費用
サーバー費用は月額3,000〜3万円程度、ドメイン費用は年額1,000〜5,000円程度が一般的です。ただし、大量のアクセスが予想される場合や、動画コンテンツを多用する場合は、より高性能なサーバーが必要となり、月額5万円以上の費用がかかる場合もあります。
3.費用に影響する要素
採用サイトの制作費用は、様々な要素によって大きく変動します。主要な影響要素を理解することで、予算計画をより正確に立てることができます。
①ページ数・コンテンツ量
ページ数は費用に最も直接的に影響する要素の一つです。基本的な採用サイトは5〜8ページ程度で構成されることが多く、これには採用TOP、会社概要、募集要項、職場環境、応募フォームが含まれます。
追加ページの費用相場は、テキスト中心のページで5〜10万円、写真やイラストを多用するページで10〜15万円程度です。特に人気の高い社員インタビューページは、撮影・取材・記事制作を含めて1ページあたり10〜20万円程度の費用がかかります。
コンテンツの質と量も重要な要素です。プロのライターによる文章制作、プロカメラマンによる写真撮影、デザイナーによるインフォグラフィック制作などを依頼する場合、それぞれ追加費用が発生します。文章制作は1ページあたり3万〜8万円、写真撮影は1日あたり10万〜30万円、オリジナルのイラスト制作は1点あたり3万〜20万円程度が相場です。
②デザインの複雑さ
デザインの複雑さと独自性は、費用に大きな影響を与える要素です。
テンプレートベース
既存のテンプレートを活用する場合、デザイン費用を大幅に削減できます。WordPressのテーマを使用する場合、テーマ費用(5,000〜5万円)とカスタマイズ費用(5万〜20万円)で済みます。ただし、他社との差別化が困難で、ブランディング効果は限定的です。
セミオーダーデザイン
既存のテンプレートをベースに、企業カラーやロゴを反映したオリジナル要素を加えるアプローチです。テンプレートベースの1.5〜2倍程度の費用がかかりますが、一定の独自性を確保できます。
フルオーダーデザイン
完全オリジナルのデザインを制作する場合、テンプレートベースの2〜4倍の費用がかかります。企業のブランドアイデンティティを反映した独自性の高いデザインが実現できますが、制作期間も長くなります。
高度なビジュアルエフェクト
パララックススクロール、アニメーション効果、インタラクティブな要素などの実装には、追加で5万〜30万円程度の費用が必要です。これらの効果は視覚的なインパクトを与えますが、ページの読み込み速度やスマートフォンでの表示に影響する可能性もあります。
③機能要件
採用サイトに実装する機能によって、費用は大きく変動します。
基本機能
お問い合わせフォーム、採用情報の検索機能、ソーシャルメディア連携などの基本機能は、多くの場合制作費用に含まれています。
応募管理システム
応募者の情報を一元管理し、選考プロセスを効率化するシステムの導入には、20〜100万円程度の費用がかかります。機能の範囲によって価格は変動し、基本的な応募フォームと管理機能であれば20〜50万円、面接スケジュール調整、評価管理、自動返信メールなどの高度な機能を含む場合は50〜100万円程度になります。
動画コンテンツ
動画は採用サイトの魅力を大幅に向上させる要素ですが、制作費用も高額になります。企業紹介動画は100〜200万円、社員インタビュー動画は1本あたり30〜80万円、職場紹介動画は100〜200万円程度が相場です。動画の長さ、撮影場所の数、編集の複雑さによって費用は変動します。
多言語対応
グローバル企業や外国人採用を行う企業では、多言語対応が必要になります。英語版の追加で50〜150万円、その他の言語は1言語あたり30〜100万円程度の費用がかかります(翻訳費用別)。各言語に最適化されたデザイン調整、文字数の違いによるレイアウト修正などが必要になります。
CMS導入
更新が容易なCMS(コンテンツ管理システム)の導入には、30〜150万円程度の費用がかかります。WordPressベースの軽量なCMSであれば30〜100万円、企業向けの高機能CMSであれば100〜200万円程度が相場です。CMS導入により、日常的な情報更新を内製化できるため、長期的には運用コストの削減につながります。
④レスポンシブ対応
現在、採用サイトへのアクセスの約60〜70%がスマートフォンからとなっており、レスポンシブ対応は必須の機能となっています。
基本的なレスポンシブ対応は多くの場合制作費用に含まれていますが、スマートフォンに特化した特別な機能(タップで電話発信、位置情報連携、プッシュ通知など)を実装する場合は、追加で20〜80万円程度の費用がかかります。
4.制作会社選びのポイント
適切な制作会社を選ぶことは、費用対効果の高い採用サイトを制作する上で極めて重要です。以下のポイントを参考に、総合的な判断を行うことをお勧めします。
①見積もり比較のコツ
複数社からの見積もり取得
最低でも3〜5社から詳細な見積もりを取得することが重要です。同じ要求仕様でも制作会社によって見積もりが大きく異なることがあるため、比較検討により適正な相場感を把握できます。
見積もり依頼時には、できるだけ詳細な仕様書を作成し、全ての会社に同じ条件で依頼することが重要です。ページ数、必要な機能、デザインの方向性、納期、予算の上限などを明確に伝えることで、比較可能な見積もりを取得できます。
項目別内訳の確認
単純に総額だけを比較するのではなく、項目別の詳細な内訳を確認することが重要です。企画・設計、デザイン、コーディング、テスト、保守などの各項目の費用配分を比較することで、各社の強みや特徴を理解できます。
また、追加オプション費用、修正費用の上限、納期変更時の追加費用なども事前に確認しておくことで、後々のトラブルを避けることができます。
制作期間と納期の妥当性
制作期間が極端に短い見積もりは、品質に問題がある可能性があります。一般的に、スタンダードな採用サイトの制作には3〜4ヶ月程度の期間が必要です。短縮する場合は追加費用が発生することも多いため、余裕を持ったスケジュールを組むことをお勧めします。
②実績・得意分野の確認
同業界での制作実績
同じ業界での制作実績がある会社は、業界特有のニーズや課題を理解しており、より効果的な提案ができる可能性が高いです。製造業、IT業界、サービス業など、それぞれの業界には求職者が重視するポイントや、アピールすべき要素が異なります。
過去の制作実績を確認する際は、デザインの品質だけでなく、掲載されているコンテンツの内容や構成も参考になります。自社と似た規模・業界の企業サイトがあれば、具体的な相談がしやすくなります。
採用サイトの専門性
採用サイトを専門としている制作会社は、採用マーケティングに関する知見も豊富です。単なるWebサイト制作だけでなく、採用戦略、求職者のペルソナ設定、コンテンツ企画、SEO対策など、採用活動全体を視野に入れたアドバイスを期待できます。
一般的なコーポレートサイトと採用サイトでは、目的も構成も大きく異なります。採用サイト特有のノウハウを持つ会社を選ぶことで、より効果的なサイトを制作できます。
デザイン品質とトレンド対応
過去の制作実績のデザイン品質を詳細に確認することも重要です。現在のWebデザインのトレンドに対応しているか、ユーザビリティが考慮されているか、ブランディング効果が期待できるかなどを総合的に判断します。
特に採用サイトでは、若い世代の求職者にアピールするためのモダンなデザインが求められることが多いため、最新のデザイントレンドに対応できる会社を選ぶことが重要です。
③サポート体制
納品後のサポート内容
採用サイトは納品後の運用・保守が重要です。どのようなサポートが提供されるか、サポート期間、サポート内容、追加費用の有無などを事前に確認しておきます。
基本的なサポートには、サーバーの監視、セキュリティアップデート、簡単な文章修正、アクセス解析レポートの提供などが含まれることが一般的です。
レスポンスの早さ
問い合わせに対するレスポンスの早さも重要な判断基準です。制作期間中だけでなく、納品後の運用段階でも迅速な対応が期待できるかを確認します。
緊急時の対応体制、営業時間外のサポート可否、連絡手段(電話、メール、チャットなど)なども事前に確認しておくと安心です。
担当者の専門知識レベル
担当者が採用や人事に関する専門知識を持っているかも重要なポイントです。技術面だけでなく、採用活動の実際の課題や求職者のニーズを理解している担当者であれば、より実践的な提案を期待できます。
初回の打ち合わせで、採用に関する質問や提案があるかどうかも判断材料の一つになります。
5.コストを抑えるポイント
限られた予算でも効果的な採用サイトを制作するための実践的な方法をご紹介します。
①テンプレート活用
WordPressテーマの活用
高品質なWordPressテーマを活用することで、制作費用を50〜70%削減することが可能です。最近のWordPressテーマは非常に洗練されており、プロが制作したようなデザインを比較的安価に利用できます。
採用サイト向けのテーマも数多く公開されており、会社紹介、募集要項、社員インタビューなどの必要なページテンプレートが予め用意されています。テーマの費用は5,000円〜5万円程度で、カスタマイズ費用を含めても総額50〜150万円程度でスタンダードレベルの採用サイトを制作できます。
既存デザインのカスタマイズ
完全オリジナルではなく、既存のデザインをベースに企業カラーやロゴ、フォントなどをカスタマイズすることで、コストを抑えながらも一定の独自性を確保できます。
この場合、デザイン費用を30〜50%程度削減できることが多く、制作期間も短縮できます。ただし、競合他社との差別化は制限されることを理解しておく必要があります。
②段階的な構築
第1フェーズ:基本機能での開始
最初は最低限の機能とコンテンツでサイトを公開し、運用しながら段階的に機能を追加していく方法です。第1フェーズでは、会社概要、基本的な募集要項、簡単な応募フォームのみで開始します。
この段階では30〜80万円程度の投資で済み、早期にサイトを公開できます。実際の運用を通じて求職者の反応や必要な機能を見極めることができるため、無駄な投資を避けられます。
第2フェーズ:コンテンツ拡充
サイトの運用が安定してきたら、社員インタビュー、職場環境の詳細紹介、福利厚生の充実、よくある質問の追加などを行います。この段階で30〜100万円程度の追加投資を行います。
実際の応募者からの質問や関心事項を踏まえてコンテンツを作成できるため、より効果的な情報発信が可能になります。
第3フェーズ:高度な機能追加
サイトの効果が確認できたら、動画コンテンツ、応募管理システム、多言語対応などの高度な機能を追加します。この段階での投資額は50〜200万円程度になりますが、これまでの運用データに基づいた投資判断ができるため、ROIを最大化できます。
③内製できる部分の切り分け
写真撮影の内製化
プロカメラマンによる写真撮影は高額になることが多いため、社内で対応できる部分は内製化することでコストを削減できます。最近のスマートフォンカメラは高品質で、適切な撮影技術があれば十分な品質の写真を撮影できます。
写真撮影の内製化により、10〜30万円程度のコスト削減が可能です。ただし、メインビジュアルや重要なページの写真はプロに依頼することをお勧めします。
原稿作成の内製化
会社紹介文、募集要項、社員インタビューの原稿などは、人事部門や該当部署で作成することで外注費用を削減できます。社内の人間が作成する原稿は、よりリアリティがあり、企業文化を正確に伝えることができる場合も多いです。
ただし、Web用の文章作成には専門的な知識が必要な場合もあるため、重要な部分はプロのライターによる校正を受けることをお勧めします。原稿作成の内製化により、10〜50万円程度のコスト削減が期待できます。
日常的な更新作業の内製化
CMSを導入することで、新しい募集要項の追加、イベント情報の更新、社員ブログの投稿などの日常的な更新作業を内製化できます。
更新作業の内製化により、月額2〜5万円程度の運用コスト削減が可能です。年間で考えると24〜60万円の削減効果があり、数年で大きなコスト削減につながります。
企画・構成の事前準備
サイトの構成や掲載内容を社内で事前に整理しておくことで、制作会社との打ち合わせ時間を短縮し、企画費用を削減できます。
ターゲットとなる求職者の分析、競合他社サイトの調査、掲載したい情報の整理、写真・動画の素材準備などを事前に行うことで、10〜30万円程度の企画費用削減が期待できます。
6.まとめ
採用サイトの制作費用は、企業の規模、要求レベル、実装する機能によって10万円から1,000万円以上まで非常に幅広く設定されています。重要なのは、単純に安いサイトを選ぶのではなく、採用活動全体におけるコストパフォーマンスを考慮した戦略的な選択を行うことです。
①費用対効果を考慮した選択の重要性
採用サイトは単なるWebサイトではなく、優秀な人材を獲得するための重要な投資です。人材紹介会社への手数料が年収の30〜35%程度であることを考えると、採用サイトへの適切な投資は長期的に大きなコスト削減効果をもたらします。
例えば、年収500万円の社員を人材紹介会社経由で採用した場合、手数料は150〜175万円程度になります。200万円の採用サイトを制作し、それにより直接応募が増加すれば、わずか1〜2名の採用で投資を回収できる計算になります。
また、採用サイトは一度制作すれば長期間使用でき、継続的に効果を発揮します。3年間使用すると仮定すると、200万円の制作費用は年間約67万円、月額約5.6万円の投資となり、他の採用チャネルと比較しても非常に効率的な投資と言えるでしょう。
さらに、採用サイトには採用活動以外の副次的効果も期待できます。企業ブランディング、既存社員のエンゲージメント向上、取引先からの信頼度アップなど、多面的な価値を提供します。これらの効果を含めて考えると、採用サイトへの投資価値はさらに高くなります。
②予算別おすすめパターン
予算50万円以下の場合
限られた予算の場合は、既存コーポレートサイトを活用した採用ページの追加がお勧めです。WordPressテーマを活用し、基本的な情報発信から開始します。この段階では、会社の魅力を伝える基本情報と応募方法を明確にすることに焦点を当てます。
制作内容:採用TOP、会社概要、募集要項、基本的な応募フォーム 期待効果:採用情報の一元化、応募窓口の明確化 将来の展開:運用しながら段階的に機能追加を検討
予算50万円〜200万円の場合
この予算帯では、専用の採用サイトを構築できます。オリジナルデザインを採用し、求職者により詳細な情報を提供できます。社員の声や職場環境の紹介など、企業の魅力を多角的に伝えることが可能です。
制作内容:専用採用サイト、社員インタビュー、職場環境紹介、詳細な募集要項、応募管理システム(基本版) 期待効果:企業理解の促進、応募者の質向上、採用ブランディング効果 追加検討項目:写真撮影、動画コンテンツの部分的導入
予算200万円以上の場合
十分な予算がある場合は、採用ブランディングを重視した高機能サイトの構築が可能です。動画コンテンツ、インタラクティブな要素、高度な応募管理システムなど、最新の技術を活用した魅力的なサイトを制作できます。
制作内容:フルオーダーデザイン、動画コンテンツ、高度な応募管理システム、多言語対応(必要に応じて)、SEO対策、アクセス解析設定 期待効果:強力な採用ブランディング、競合との差別化、長期的な採用力強化 運用面:継続的な改善とコンテンツ更新による効果最大化
③ROI測定の重要性
採用サイトの効果を正確に測定することで、投資対効果を明確にし、今後の改善方針を決定できます。
定量的指標
・サイト訪問者数とページビュー数
・応募者数と応募者の質(書類選考通過率、面接通過率)
・直接応募の比率向上
・採用コスト(1名あたりの採用費用)の削減効果
・採用期間の短縮効果
定性的指標
・応募者からのサイトに対するフィードバック
・面接時の企業理解度
・内定承諾率の向上
・入社後の早期離職率の改善
これらの指標を継続的にモニタリングし、必要に応じてサイトの改善を行うことで、採用サイトの効果を最大化できます。
④長期的な視点での投資戦略
採用サイトは短期的な効果だけでなく、長期的な採用力強化の観点から投資を検討することが重要です。
継続的な改善の必要性
Webサイトの技術やデザイントレンドは常に進歩しているため、3〜5年程度でリニューアルを検討することが一般的です。ただし、全面的なリニューアルではなく、部分的な改善を継続的に行うことで、常に最新の状態を保つことができます。
コンテンツの充実
サイト公開後も、新しい社員インタビューの追加、制度改正に伴う情報更新、採用実績の紹介など、継続的なコンテンツ更新が必要です。フレッシュな情報を定期的に発信することで、求職者の関心を維持し、SEO効果も向上します。
技術面での進歩への対応
スマートフォンの普及、AI技術の発展、新しいSNSプラットフォームの登場など、技術環境の変化に対応していくことも重要です。チャットボットの導入、VRを活用した職場見学、SNSとの連携強化など、新しい技術を積極的に取り入れることで、競合との差別化を図れます。
採用サイトは企業の採用活動を支える重要なインフラです。適切な予算配分と戦略的な投資により、長期的に優秀な人材を獲得し続けることができる強力なツールとして活用していただければと思います。初期の投資は決して小さくありませんが、その効果と価値を正しく理解し、計画的に取り組むことで、必ず大きなリターンを得ることができるでしょう。

執筆者:株式会社ゴマシオカンパニー 代表取締役 山崎準也
ゴマシオカンパニーは、採用広報支援を目的としたクリエイティブを得意とする企画制作オフィスです。この分野で20年以上実績を積み上げてきた代表を中心に、様々な分野のクリエイティブを得意とするスタッフが、日々アイデアを出し合い、お客さまの採用課題解決に尽力しています。
注目記事
テレビ局の採用サイト事例10選|メディアの多様化時代に求められる採用設計とは
2025/10/09
採用LP(ランディングページ)事例9選|成功のポイントと制作のコツを徹底解説
2025/09/10
2025/08/04
2025/07/22
建設会社の採用サイト事例15選|人手不足を解消する応募導線設計
2025/07/04
人気の記事
2024/03/18
2024/04/12
2024/09/27
2024/08/27
2024/05/18
最新記事
テレビ局の採用サイト事例10選|メディアの多様化時代に求められる採用設計とは
2025/10/09
Studioなどノーコードツールを利用した採用サイト制作の完全ガイド
2025/09/26
採用サイトのアクセス解析で応募者を増やす!効果的な分析手法と改善ポイント
2025/09/17
採用LP(ランディングページ)事例9選|成功のポイントと制作のコツを徹底解説
2025/09/10
2025/09/04
