ブログ > 採用ブランディング戦略とは?目的やメリットをわかりやすく解説
公開日:2023.08.29 / 最終更新日:2024.02.15
採用ブランディング戦略とは?目的やメリットをわかりやすく解説
事例紹介 人事・採用担当 採用サイト 採用トレンド 採用支援 解説
採用ブランディングとは何か? 目的や方法、メリットは何かといった採用ブランディングをこれから考えていくのに知っておくべきポイントを紹介・解説していきます。
目次
1.採用ブランディングとは
採用ブランディングとは、採用活動で自社のことをブランド化することです。採用活動の戦略として行うことが、採用ブランディングになります。
求職者にとって、自社が魅力的で働きたいと考える人を増やして、求人魅力・特徴を発信して、求職者に自社のことを知ってもらうことで、ブランド化していきます。
採用ブランディングの目的
採用ブランディングは、企業が自身の魅力や価値観を積極的にアピールし、魅力的な雇用ブランドを構築することを目指します。このプロセスでは、企業文化や働きがいなど、働く環境の特徴を明確にし、求職者に対して自社を魅力的な職場として認識してもらうことがゴールです。
採用ブランディングの目的を知るために、採用広報・採用マーケティングとの違いなどについても紹介します。
採用広報・採用マーケティングの違い
◼︎採用広報とは
採用広報は、企業の採用に関する情報を広く発信することに重点を置き、企業イメージの向上や求職者の関心を引くことを目的としています。ニュースリリース、イベントの開催、SNSを活用した情報配信など、多様なコミュニケーション手段を駆使し、企業の存在感を高めることが主な役割です。
◼︎採用マーケティングとは
採用マーケティングは、マーケティングの概念を採用活動に応用し、ターゲットとなる求職者に自社の魅力や特徴を効果的に伝えることを目指します。市場調査やターゲット分析を行い、適切なメッセージを適切なチャネルを通じて届けることで、求職者の興味を引き、応募を促進します。ここでは、自社の魅力や特徴を深く理解してもらい、企業と求職者のマッチングを高めることが主な目的となります。
2.なぜ採用ブランディングが重要なのか
時代変化によりニーズが増加したことで、採用ブランディングが注目を集めるようになりました。
なかでも、昔と現在で大きく変わった要因を紹介します。
1.企業が選ばれる時代に変化した
今までは、企業が面接して、人材を選んで採用していたという時代でしたが人手が不足していることや、仕事を選ぶ自由度も増えたことから、企業は求職者にとって選んでもらう側に変化したというのが大きな要因となっています。
昔は選んでもらうためにはどうしたらいいかということを考える必要がありませんでしたが、現在では、選んでもらえないと人手不足に陥るということです。
2.仕事選びの価値観が変化した
仕事選びの自由度だけでなく、仕事を選ぶ際の価値観の変化も要因になっています。
価値観といっても人それぞれであるのは変わりありません。
ただ、昔の仕事選びの価値観は給料面など対価としての部分を重視する傾向にありました。
いまは時代の変化とともに、ワークライフバランスという言葉が定着したように仕事を選ぶときには、いまの生活のことはもちろん、バランスがとりやすい企業がいいという傾向にあります。
つまり、仕事ばかりのタイプの企業ではなく、仕事以外の生活のことも充実させられる企業がいいということになっています。
一例として、休みの取得や残業の有無といった点が挙げられます。
3.今後の採用市場を見越して
現代の採用市場では人手不足のリスクが高まっており、その対策として採用ブランディングを重視する企業が増えています。
少子高齢化による労働人口の減少から、今後の採用市場はますます「売り手市場」となることが予想されます。
求職者に対して採用したい企業の数の方が多い「売り手市場」のなかで他社との差別化を行うためにも、採用ブランディングの重要性はより増していくでしょう。
3.採用ブランディングのメリット
採用ブランディングを行うことのメリットを紹介します。
企業認知度の向上
採用ブランディングの主なメリットは、企業の認知度向上にあります。企業が自ら情報を発信することで、単に求職者に対してのみならず、これまで接点のなかった企業や個人にも自社の存在を知ってもらえる機会を生み出します。
主な目標は確かに求職者への情報提供ですが、それだけに留まらず、より広範な影響力を持つことができるのも利点です。このように、採用ブランディングは求職者だけでなく、幅広い層に企業をアピールし、認知度を高める効果が期待できます。
競合企業との差別化
採用ブランディングを積極的に展開することで、競合企業との明確な差別化を実現できます。求職者にとって、あなたの会社と競合企業は選択肢の一つに過ぎません。したがって、自社と競合との間に存在する違いや独自の特徴をはっきりと示すことで、差別化を進めることが可能です。自社の魅力を積極的に伝えることは、この差別化を図る上で非常に重要な要素です。
採用コストの削減
採用ブランディングは、採用コストの削減にも影響します。採用ブランディングを通じて企業の魅力を明確に伝えることで、企業が求める人材と求職者間のミスマッチを減らし、結果として広告費などの採用に関わる費用を抑えることが可能になります。
さらに、効果的な採用ブランディングは口コミや他の情報源を通じて、採用プロセスを最適化し、より効率的な人材獲得へと繋がります。
応募者の増加の期待
採用ブランディングを積極的に行うことで、従来の求人広告だけでは届かなかった幅広い層の応募者を引き寄せることが可能になります。これは、企業の独自の強みや魅力をアピールすることで異なる層に自社を認知してもらい、興味を持ってもらうためのものです。
これにより、企業で働くイメージが容易になり、いままでリーチできなかった潜在的な人材へのアクセスが拡大し、応募者数の増加につながります。
人材の定着に繋がる
採用ブランディングを実施することで、離職率の低下が期待できます。
伝統的な採用手法では、企業の実際の働き方や社風を応募者に十分に伝えることが難しく、入社後の期待と現実のギャップにより離職に至る場合があります。採用ブランディングでは、企業の魅力や働く環境のリアルなイメージを事前に共有することで、応募者が自社にマッチしたイメージを持てるようになります。結果として、実際に働くイメージとギャップが少ない人材が集まり、長期的に企業に貢献する社員の確保につながり、離職率の低下を実現します。
4.採用ブランディングのデメリット
採用ブランディングにはどういったデメリットがあるかを紹介します。
全社的に取り組む必要がある
採用ブランディングの成功には、人事部門だけでなく、企業全体の協力が不可欠です。採用ブランディングでは、企業としてのブランド価値を高め、一貫したメッセージを外部に伝えることが重要になります。その過程で、宣伝する企業の魅力や働き方が実際の社内環境と異なるとギャップが生じ、新入社員の期待とリアルの不一致による問題が起こり得ます。
したがって、採用ブランディングを進める際は、組織全体で一致した理解と方向性を持ち、実際の社内環境を正確に反映した情報発信を心がけることが重要です。
結果が出るまで時間かかる
採用ブランディングの実施には時間を要します。戦略が適切かの確認、社内の異なる意見に基づく方向性の調整、そして戦略の実行可能性を確かめるための検証作業を繰り返す必要があるためです。
このように、採用ブランディングを成功させるためには計画的なアプローチが求められます。
継続的に続けていく必要がある
採用ブランディングの成果を実現するためには、継続的な取り組みが不可欠です。情報発信は一度きりではなく、常に最新の情報を提供し続ける必要があり、これには相応のリソースが求められます。しかし、この継続的な取り組みを怠ると、企業のブランドイメージを市場に定着させることが困難になります。
5.採用ブランディングの進め方
採用ブランディングを初めて実施する方のために、手順や方法を紹介していきます。
自社分析
採用ブランディングの出発点は、自社分析から始まります。この段階では、自社の短所を挙げるのではなく、どのような魅力や独自性を持っているのかを見極めることが目的です。
自社の魅力や特性を明確にした上で、それを踏まえた将来のビジョンを描きます。このビジョンに基づき、現在発信可能な魅力や特性と将来的に目指すべき姿から、どのようなブランドイメージを構築していくかを考えることが、採用ブランディング戦略の軸となります。
求める人物像(採用コンセプト)
採用ブランディングの核心は、求職者に向けた的確な情報発信です。このため、企業が求める人材像、すなわち採用コンセプトを明確に定義することが不可欠です。採用コンセプトに齟齬があると、入社後に期待と現実のギャップが生じ、ミスマッチの原因となり得ます。
採用ブランディングのキーポイント(訴求ポイント)
採用ブランディングでは、求職者に訴求する自社の魅力と特徴を正確に伝えることが重要です。誤った魅力を伝えてしまわないためにも、ターゲットとなる求職者のペルソナを定義し、その人物像に響く内容を戦略的に発信する必要があります。
情報の届け方(発信内容・発信手段)
採用ブランディングにおいて、情報の発信方法は採用コンセプトや訴求ポイントに基づいて慎重に選ぶ必要があります。従来は自社ウェブサイトが主な情報発信手段でしたが、SNSの普及により、より手軽なツールが登場しています。ターゲットとする求職者層に合わせた適切な情報発信手段を選択し、効率的に魅力を伝えることが重要です。
PDCAサイクル
採用ブランディングは時間を要し、継続が必須です。このプロセスを効率化するため、PDCAサイクルの活用が重要です。発信後のデータ分析を基に内容の調整や発信手段の効果を再評価し、改善策を定期的に実施することで、効果的な採用ブランディング戦略を形成し続けることが求められます。
6.事例で見る採用ブランディング
株式会社メルカリ
メルカリは言わずと知れた、誰もが知っているフリマアプリを展開している企業です。 そんな知名度もあるメルカリも採用ブランディングを実践しています。 メルカリで働く人が運営するメディア「メルカン」を立ち上げて採用ブランディングを行っています。 メルカンは、実際に働く人のインタビューや採用における情報を発信しており、採用ブランディングにおいて必要なことを網羅したメディアサイトです。
オウンドメディアでの採用ブランディングにおいて非常に参考になるサイトになります。
日本マクドナルド株式会社
日本マクドナルドは、採用広報に焦点を当て2016年から採用ブランディング戦略を行っています。現在18万人のクルーが在籍している同社では、採用活動にはマーケティングの手法を取り入れています。特に、オウンドメディアを利用したリクルーティングに着目し、クルーの多様性や採用方法、オウンドメディアの重要性が強調されています。また、少数精鋭で中長期的な採用ブランディング戦略を策定し、クルーが働く職場のブランディングや同社での働きがいを広めるための採用広報に注力していることを説明しています。
この取り組みは、求職者に対し就業イメージを持たせ、安心して応募できる環境を提供することを目的としていることが伺えます。
ダイドードリンコ株式会社
ダイドードリンコは2010年の構造改革を機に、新たな人材を求める必要性が明らかになり、2011年からキャリア採用を本格化しました。特にマーケティング部門の強化に焦点を当て、既存社員と新入社員の融合を促進しています。結果として、さまざまなヒット商品を生み出すことに成功し、企業成長を実現しています。
同社は、採用に関するKPIを設けず、長期的な視点で人材育成と企業成長を目指しています。社員の主体性を促し、可能性を引き出す「きっかけづくり」を人事の役割と捉え、様々な対策を通じて社員が自らのキャリアを広げ、チャレンジできる環境を提供しています。
同社の取り組みは、単に人材を確保するだけでなく、社員が会社と共に成長し、定着することを目指す姿勢が重要であることを示しています。
LINE株式会社
LINEは、その成長と変革を支えるために、リファラル採用を中心とした採用戦略を徹底して推進しています。この取り組みの背景には、企業が持つ「LINE STYLE」という行動指針に基づき、「最高を目指す、少数精鋭のチーム」であり続ける必要があるという考えがあります。従業員数や売上の増加に伴い、チームや人員が増えても、それが直接売上の成長につながるわけではないという認識のもと、スピード感を持った事業展開を続けるためには、社内から優秀な人材を推薦するリファラル採用の強化が必要と判断したようです。
この取り組みは、社内外からの注目を集め、既に社員からの紹介が3倍以上に増えるなど、目に見える成果を上げています。
SONYグループ株式会社
SONYグループは、採用オウンドメディア「Discover Sony」の立ち上げと情報発信を通じて、企業イメージの醸成と採用活動の強化を進めています。特に、AIやクラウド、半導体領域の専門人材や理系女性などの特定人材の応募増加を目指し、社風や働き方に関する認知度向上に努めています。採用活動では、応募者の「感動体験」を重視し、求職者との「縁」を育むことを目標に掲げており、多様な事業を持つ強みを活かした最適な配属先の紹介や、職場の実態や働き方に焦点を当てた情報発信に注力。
また、適性検査の結果フィードバックなどを通じ、キャンディデイトエクスペリエンスの向上を図っています。
7.まとめ
採用ブランディングは、中長期的な取り組みが求められるものの、現代の採用トレンドに乗り遅れないためには企業規模を問わず重要な戦略です。時間を要するプロセスに躊躇することなく、変化する求職者のニーズに応じた採用アプローチを模索することが、競合に後れを取らないためには不可欠です。
採用ブランディングが多くの企業で取り入れられている現状は、その必要性と有効性を物語っています。未来への投資として、採用ブランディングを自社の戦略に組み込むことをおすすめします。
執筆者:株式会社ゴマシオカンパニー 代表取締役 山崎準也
ゴマシオカンパニーは、採用広報支援を目的としたクリエイティブを得意とする企画制作オフィスです。この分野で20年以上実績を積み上げてきた代表を中心に、様々な分野のクリエイティブを得意とするスタッフが、日々アイデアを出し合い、お客さまの採用課題解決に尽力しています。
注目記事
2024/10/25
2024/09/27
2024/09/27
2024/09/27
2024/08/27
人気の記事
【2023年度版】採用サイト制作の抑えておきたいポイントとデザイン参考事例まとめ5選
2023/03/30
2023/06/19
“中途採用”を強化するなら!厳選事例と中途採用サイトに求められるコンテンツ
2023/07/14
2023/03/08
2023/04/11