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公開日:2025.05.08 / 最終更新日:2025.05.08
採用メッセージの作り方完全ガイド

採用メッセージは、単なるお知らせではなく、求職者の心に届く共感の入口です。採用サイトや採用パンフレット、採用動画などを使って求職者に届け、採用ブランディングをより強固なものとする役割も果たします。大切なのは、条件の羅列ではなく「仕事に対する想い」や「採用に懸ける想い」を言葉にして届けること。価値観のすり合わせができれば、ただの“応募”が“出会い”に変わります。まず大切なのは、会社のビジョンや大切にしている価値観をしっかり伝えること。仕事を探している方は、ただ条件の良い職場を探しているだけではありません。自分の考え方や大切にしたいこととマッチする会社を選びたいと思っているのです。
また、実際の仕事内容や、どんなスキルを活かせるのか、職場の雰囲気など、気になる情報をわかりやすく伝えることも大切です。「自分にもできそう」「ここで働くイメージが湧いた」と思ってもらえれば、興味を持ってもらえる可能性がぐっと高まります。そしてもう一つ、自社のアピールポイントもしっかり盛り込みましょう。たとえば、働きやすさにつながる制度や、社員のリアルな声、チームの雰囲気など、自社ならではの魅力を伝えることで、より心に響くメッセージになる。こうしたポイントを意識しながら、自社ならではの採用メッセージを一緒に考えていければと思います。
目次
1.採用メッセージとは
先ほどもお伝えしたとおり、採用メッセージは、企業が求職者に向けて自社の魅力や考え方を伝える言葉です。というと堅苦しく聞こえるかもしれませんが、いわば『会社からのラブレター』のようなものだと思ってください。採用活動の中で最初に目にすることが多く、企業の印象を決める大切な役割を果たします。だからこそ、うわべだけのキレイな言葉ではなく、採用に懸ける本気の想いを伝えることが重要なのです。
企業のビジョンや価値観、職場の雰囲気、求める人物像などを具体的に伝え、さらに感情に響くメッセージを加えることで、「もしかして私のことを言っている?」「まさにこんな環境を求めていた!」「ここで働きたい!」と感じてもらえるようになります。他社と差をつけるためには、ただの情報提供にとどまらず、心に残る言葉を発信することがポイント。これが、理想的な人材との出会いを引き寄せるカギです。
2.採用メッセージの重要性
求職者が企業選びをする際に重視するのは「情報の質」です。近年、単に職務内容や条件だけでなく、自分の価値観と合う職場環境かどうかを大切にする人が増えています。だからこそ、共感を呼ぶメッセージを発信できるかどうかが、「この企業に応募したい」と思ってもらえるかどうか、ひいては企業の印象を大きく左右します。心に響く言葉で伝えることで、求職者との距離がグッと縮まり、理想的な人材との出会いに結びつくのです。
①企業のブランディング向上
採用メッセージは、単なる求人広告ではなく、企業の文化や価値観を伝える重要なツールです。これがうまくいけば、求職者に与える印象が良くなり、企業のブランディングを強化できます。求職者が最初に目にするのが採用メッセージ。そのメッセージが魅力的で明確なら、企業の目指す方向性や特徴が伝わりやすく、応募への動機付けになります。また、採用メッセージが企業の理念やビジョンと一致していると、求職者に信頼感を与え、一貫したメッセージで企業の安心感を築けます。戦略的な採用メッセージは、企業の魅力を引き出し、認知度を高めるために欠かせない要素なのです。
②求職者の注目を集める
求職者の興味を引くためには、魅力的な見出しやキャッチフレーズを使うことが大切です。直感的で心に響く言葉を使うことで、自然と内容に引き込まれます。また、視覚的な要素を活用するのも効果的です。写真やイラストで職場の雰囲気を伝えることで、求職者は働くイメージが湧きやすく、応募のハードルをぐっと下げることができます。求職者のニーズに焦点を当てた情報を盛り込むことも大事です。具体的な業務内容や福利厚生、成長支援などを詳しく伝えることで、応募者にとっての価値をより明確に示せます。さらに、社員の声や成功事例を紹介することで、求職者に信頼感と共感を生み、自社に対する興味を引き出します。
③ミスマッチの予防
ミスマッチを防ぐことは、企業と求職者双方にとってとても重要な課題です。採用メッセージが具体的で透明性が高ければ、求職者は自分に合った職場かを判断しやすく、入社後のギャップを減らすことで、定着率を高める効果に期待ができます。業務内容や必要なスキルを明確にし、企業文化や働き方についても触れることで、職場の雰囲気を想像できるようになります。また、実際の社員の声を紹介し、リアルな職場の印象を求職者に伝えることができます(もちろん本音で語ることが前提)。これによりミスマッチを未然に防ぎ、より良いマッチングを実現させることができます。
3.採用メッセージを作るステップ
ステップ1: ターゲットの明確化
最初のステップとして大切なのが「ターゲット」を明確にすること。ターゲットが定まっていないと、メッセージが曖昧になり、求職者に伝わりづらくなります。年齢や経験年数だけでなく、住んでいる地域や価値観も考慮しましょう。例えば、都市部に住む若手社員には成長機会を、地方の求職者には安定感や生活の質をアピールするなど。また、ワークライフバランスを重視する人には柔軟な働き方を、チャレンジ精神旺盛な人には成長できる環境を強調するなど、価値観に合わせたメッセージを発信すると求職者に響きやすくなります。
ステップ2: 競合他社との差別化ポイントの明確化
企業が数多くある中で、「なぜこの会社に応募するのか」を決める判断材料になるのが、他にはない魅力です。だからこそ、自社だけが持つ強みを言語化することが大切。働きやすさや福利厚生、育成制度など、求職者が重視するポイントを改めて見直してみましょう。とくにユニークな制度や独自の取り組みがあれば、そこはしっかり打ち出すべきです。差別化された採用メッセージづくりのカギは、他社との違いを明確に伝えること。競合他社の採用ページなども参考にしつつ、自社ならではの個性を掘り下げて言葉にしていく。それが、求職者の心を動かす力になります。
ステップ3: 自社の魅力の整理
魅力的な採用メッセージは、自社の良さを正しく把握することから始まります。とはいえ、主観だけでは見落としもあるでしょう。企業のビジョンや働き方が、実際に社員のやりがいや成長につながっているのか、客観的に整理してみましょう。制度や環境だけでなく、社員の声やリアルなエピソードも参考にすると、説得力がぐっと増します。自社を外から見つめ直すことが、伝えるべき価値を見極める第一歩です。
自社を分析するにあたり、フレームワークの活用をおすすめします。
ここでは「3C分析」「4C分析」「4P分析」をご紹介します。
<3C分析>
採用における自社の立ち位置や強みを整理するための基本フレームです。
・Customer(求職者・市場)
どんな人材が市場に多いか、求職者が重視する価値は何かを分析。
・Competitor(競合他社)
同業他社はどのような採用活動をしているか、自社との違いは何かを把握。
・Company(自社)
自社が持つ強みや特長、独自性を明確にする。
<4C分析>
求職者の視点に立って、自社が「選ばれる理由」を探るためのフレームです。
・Customer Value(価値)
自社で働くことの魅力や、他社にはない価値とは何か。
・Cost(負担)
入社前・入社後に求職者が感じる不安やコストは何か。
・Convenience(利便性)
勤務地、働き方、応募のしやすさなど、利便性の高さはどうか。
・Communication(関わりやすさ)
求職者との接点や、企業との距離感はどう設計されているか。
<4P分析>
自社の魅力を多角的に深掘りし、言語化するためのフレームです。
・Philosophy(想い・目的)
企業としての存在意義や、働く上で大切にしていることは何か。
・Profession(事業内容)
どんな事業を展開し、どんな特徴があるのか。
・People(人・文化)
どんな人が働き、どのようなカルチャーが根づいているのか。
・Privilege(待遇・働き方)
給与や福利厚生、働きやすさ、柔軟性などの魅力は何か。
どのフレームも、自社の採用メッセージを言語化するうえでのヒントをくれる便利なツールです。
ステップ4: 伝えるべきメッセージを決める
整理した情報をもとに、求職者に届けたいメッセージの軸を定めます。企業として大切にしている価値観や、目指す成長のビジョン、働きやすさを支える職場環境、ユニークな福利厚生など。自社らしさを映したメッセージができれば、求職者の心にも自然と届くはずです。何を一番伝えたいのかを明確にすることで、メッセージ全体の方向性がぐっと定まり、印象にも残りやすくなります。
ステップ5: メッセージの具体化
各ステップで整理した内容をもとに、想いやキーワードを自由に出し合い、そこからイメージを広げていきます。メッセージの形が見えてきたら、最初に出したアイデアがきちんと反映されているかを改めてチェックしましょう。できあがったメッセージは、社内の若手メンバーにも見てもらうのがおすすめです。ターゲットに近い目線からのフィードバックをもらえば、より「伝わる」言葉に磨き上げることができます。
ステップ6: メッセージのテストと確認
採用メッセージが求職者に伝わるかどうかを検証することは、非常に重要なプロセスです。実際に求職者をターゲットにした小規模なテストを行うことをお勧めします。例えば、SNSや採用サイト制作時にメッセージを掲載し、どのくらいの反応があるかを確認。反応が良ければそのまま活用し、反応が薄ければ内容を見直す必要があります。また、メッセージがターゲット層に届いているかを確認するため、応募者にアンケートを実施するのも効果的。彼らがメッセージをどう感じたのか、何が魅力的だったのかを知ることで、次回の改善につなげることができます。このように、テストと確認を入念に行うことで、自社の採用メッセージがより効果的に機能するようになります。より求職者に響く言葉を生みだすためにも、ぜひこのステップを大切にしてください。
4.効果的な採用メッセージのポイント
効果的な採用メッセージを作成するためのポイントをいくつかご紹介します。
ポイント1: 短く簡潔で一目でわかる表現
まず押さえておきたいのは「簡潔で一目でわかる表現」です。すべての求職者が文章をじっくり見てくれるわけではありません。より短いメッセージの方が、覚えやすく、最後まで読まれやすいです。また、言葉づかいや用語選びにも注意が必要です。特に間口を広げたい場合には、専門的な用語はもちろん、難解な言葉や曖昧な表現は避けましょう。簡潔でわかりやすい表現を心掛けることで、採用メッセージの効果を最大限に引き出すことができます。
ポイント2: 実態との一致
これは言うまでもありませんが、発信する情報が実際の職場や業務内容と一致していることはとても重要です。求人票やメッセージの内容が実態と異なると、応募者の期待と現実にギャップが生まれ、ミスマッチの原因になります。「思っていたのと違う」「話が違う」といった不満から、早期退職につながることもあるため注意が必要です。あれもこれもと良く見せようとするのではなく、背伸びをせず、ありのままを伝える姿勢が大切です。等身大の情報を伝えることで、求職者に安心感を与えられます。
ポイント3: 他社との差別化を図る
競合他社と自社の違いをしっかり伝えることは、とても大切です。求職者は、多くの企業(特に同じ業界)を比較しながら応募先を決めています。似た業界同士だと、どうしても訴求ポイントが重なりがち。表現を変えただけでは、差別化はなかなか難しいものです。例えば、独自の社風や福利厚生、キャリアアップの機会など、他社にはない特性を前面に出すのもいいでしょう。社員のリアルな声を紹介するのも効果的です。実際に働くメンバーの言葉を通じて、職場の雰囲気や魅力を伝えることで、情報に説得力を持たせることができます。
ポイント4: 多くの意見を反映
採用メッセージが本当に「魅力的かどうか」を判断できるのは、やはりターゲットとなる層の人たちです。しかし、現実的には直接意見を聞くのはなかなか難しいもの。そんなときは、まず募集職種の現場メンバーに協力してもらいましょう。メッセージの候補をいくつか見せながら、「どの表現が響きそう?」「もっとわかりやすくするには?」といった視点で意見をもらうのが効果的です。
さらに、部署をまたいで意見を出し合うブレストやワークショップを定期的に行えば、いろいろな立場からの視点を取り入れることができます。現場での実体験やリアルな声が入ることで、よりリアリティがあり、具体的で信頼性の高いメッセージに仕上がります。また、過去の採用活動や応募者の声も見直してみましょう。「どこに惹かれて応募してくれたのか」「どんな不安があったのか」を知ることで、より伝わる言葉が見えてくるはずです。
5.まとめ
採用メッセージは、企業と求職者をつなぐ“最初の一歩”であり、“最大の分かれ道”でもあります。ただの情報発信ではなく、「あなたのことを本気で待っています」という想いを届けることが何より大切です。企業のビジョンや文化、そこで働く人々のリアルな声を通じて、自社にしかない価値を言葉にする。それができたとき、メッセージは単なる文章から“出会いの種”に変わります。
また、採用メッセージは一度作って終わりではありません。時代とともに求職者の価値観も変化し、企業側の採用ニーズも進化します。定期的に見直し、自社の現状やターゲットに合わせてアップデートしていくことが、より質の高いマッチングにつながります。求職者が「この会社で働きたい」と自然に思えるような、“共感”と“納得”を引き出す採用メッセージを、ぜひ時間をかけて丁寧に作ってみてください。そのメッセージが、未来の仲間との出会いを生み、企業の成長の一歩を支える力になります。ぜひこのガイドを参考に、自社らしい採用メッセージを形にしてください。

執筆者:株式会社ゴマシオカンパニー 代表取締役 山崎準也
ゴマシオカンパニーは、採用広報支援を目的としたクリエイティブを得意とする企画制作オフィスです。この分野で20年以上実績を積み上げてきた代表を中心に、様々な分野のクリエイティブを得意とするスタッフが、日々アイデアを出し合い、お客さまの採用課題解決に尽力しています。
